花芽内の局所的なサイトカイニン生合成の上昇がトレニアの花形に与える影響
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概要
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サイトカイニンによるトレニアの装飾的な花形の発生と花芽内の器官特異的なサイトカイニン濃度の上昇の関係を明らかにするために,アラビドプシスのサイトカイニン生合成酵素である isopentenyltransferase をコードする AtIPT4 を,アラビドプシスの AP1 および AP3 のプロモーターの制御下でトレニアに導入した.AP1::AtIPT4 を導入した組換え体では,花弁数の増加が見られたのに対し,AP3::AtIPT4 を導入した組換え体では,花弁数の増加に加えて花冠が拡大し,花弁の周縁部に鋸歯が発生した.さらに,これらの変化に加えて,副花冠が発生する個体が得られた.AP3::AtIPT4 を導入した組換え体の花芽では,副花冠の原基が形成される花弁伸長初期に花托の顕著な拡大が見られた.導入遺伝子は,AP1::AtIPT4 を導入した組換え体では,がく片および花弁で,AP3::AtIPT4 を導入した組換え体では,花弁および雄ずいで主に発現していた.両組換え体について,サイトカイニンシグナル強度の指標となる TfRR1 および TfCKX5 の発現を解析したところ,AP1::AtIPT4 を導入した系統では,がく片および花弁で,AP3::AtIPT4 を導入した系統では,花弁および雄ずいで発現が上昇していた.以上の結果から,花弁および雄ずいにおけるサイトカイニンシグナルを上昇させることで花托が拡大し,花冠の拡大,副花冠および鋸歯が誘導されることが示された.一方,がく片および花弁におけるサイトカイニンシグナルの上昇は,花弁数の増加のみを誘導したことから,花冠の拡大,副花冠および鋸歯の誘導には,雄ずいにおけるサイトカイニンシグナルの上昇が必要であると考えられた.
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