親子の居住形態の現況とその動向―郊外住宅地・奈良市学園前における―
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概要
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本研究は,開発から約35~55年を経過した,奈良市学園前の郊外住宅地を対象に,居住者の家族構成や親子の居住形態の現況と新しい動向を明らかにしようとした.その結果を以下にまとめる.1)家族形態は,夫婦のみ世帯が4割,単独世帯が1割と,小規模家族が約半数を占め,世帯主の高齢化が顕著に認められた.2)初期に開発された駅に近い地区においてはすでに居住者の入れ替わりが起こり,居住者の高齢化率は減少に転じている.高齢化率は開発された時期により地区ごとにタイムラグをみながら推移している.このことは,今後駅に近い地区と遠い地区における住宅地更新に影響を及ぼすと考えられる.3)世代同居は17%を占める.平均で400m<SUP>2</SUP>を超える広い敷地条件が同居を可能にしている.同居の形態は,母親のみが子世代と同居している場合が半数以上を占めている.親子の年齢関係は,80代以上の高齢の親をかかえる世帯が約半数である.本調査においては娘同居の割合が高い状況であった.4)既婚子との居住形態は,同居が3割,別居が7割と同居が予想よりも多かった.隣居,徒歩5分(近居)をあわせると1割存在し,同居,隣居,近居は全体の3.5割を占めることが大きな特徴である.5)永住意思は高齢層ほど強いのに対し,50代以下では,田園居住,都心居住,他の郊外住宅地への住み替えなど,高齢期の居住志向は多様である.6)子への居住を前提とする資産継承はさほど考えられていない.
- The Japan Society of Home Economicsの論文
The Japan Society of Home Economics | 論文
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