北東北地域における地方特定品種(和牛)牛肉の地場消費推進上の問題
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概要
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地方特定品種である短角種牛肉を対象に, 部分肉流通のマーケットとして重要視されつつある地場消費に着目し, 地元購入者の特徴とそれに基づく地方特定品種の地場消費推進上の問題点を検討した.1) 牛肉消費に関する意向で短角牛肉の購入者を分類したところ, 国産赤肉志向と霜降り肉志向の2グループに大別された.2) 霜降り肉志向における短角牛肉の需要は, 安全性の根拠となる飼養方式や飼料への信頼感よりも, 焼肉に適した美味しさや産地への親近感とそれに依拠する漠然とした安心感が背景になっていると考えられた.3) 国産赤肉志向では牛肉の消費拡大に意欲的ではないが, 用途の幅が広く放牧を重視する傾向があった. ただし, 用途が広い反面, 必ずしも肉質に合わせた調理法をしておらず, それが短角牛肉の「ジューシーさ」について不満を招く一因と考えられた.4) こうした特徴をより明確にするためには, 今後の課題として首都圏等の短角牛肉購入者の消費行動や意識との比較が必要である. 今回の調査結果はごく限られたものであるが, これをふまえると, 産地側には, 飼養方式の特徴を正確にアピールすること, 肉質や部位の特徴に応じた多様な調理法の普及を図ること, 地元の消費者側には, 産直=安心でなく, 安全性を自身で判断する態度を育成することが地場消費を推進するうえで必要と考えられる.
- The Japan Society of Home Economicsの論文
The Japan Society of Home Economics | 論文
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