水溶性天然ガスプラントにおける炭素鋼の微生物腐食
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概要
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水溶性天然ガスプラントにおいて,ヨウ素回収のためのpH調整剤として硫酸を添加した後の圧入管が数年で腐食した.腐食要因の同定のため,pH調整剤が硫酸または塩酸の場合の菌叢と腐食形態を比較した.クローンライブラリー法による菌叢解析から,生産水に含まれる真正細菌の多くはPseudomonas属,古細菌の多くはメタン生成細菌に分類された.また,バイオフィルム内の硫酸塩還元菌(SRB)優占種は,使用したpH調整剤によって異なっていた.さらに,DAPI染色とDGGE解析から,周囲からの微生物の飛来により微生物濃度の上昇と微生物群集の変化が起こったと推定された.プラント内各水槽に炭素鋼を約3カ月間浸漬させたところ,硫酸添加後の水槽では塩酸の場合と比較し,約5倍の平均腐食速度および約1.5倍のバイオフルム付着速度を示した.SRBにより,添加した硫酸から硫化水素が生じたことが腐食原因の一つとして挙げられた.しかし,局部腐食速度は硫酸添加前の水槽が最も高かった.この結果は,バイオフィルムの不均一性によって局部的な酸素濃淡電池が生じ,腐食が進行するメカニズムを示唆した.
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