ステンレス鋼表面への炭酸カルシウムスケールの付着生成機構
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
炭酸カルシウム過飽和溶液からステンレス鋼表面への結晶の付着・生成機構を25.0℃で調べた.過飽和度の高い溶液からは,溶液中で瞬時にアモルファスのCaCO3(ACC)が沈殿する.2 min間の誘導期間の後,カルサイト結晶が生成・成長し,さらに3.5 min後にはバテライトの結晶が生成し始める.約8 minでACCはすべて結晶多形に転移する.その後,生成した準安定多形であるバテライトは7 hで最も安定な多形であるカルサイトに転移する.沈殿生成前に金属板を溶液へ挿入した場合,金属板表面には初期に少量のACCが付着生成し数分で消失する.その後カルサイトが付着し成長する.ACCの沈殿生成直後の溶液に金属板を挿入した場合,カルサイトの付着と同時にバテライトも付着生成する.金属表面上のバテライト結晶は直線的に並んで付着する.金属板上のカルサイトは成長する.バテライトは溶解し消失する.溶液中のバテライトの生成以後に金属板を挿入すると,炭酸カルシウムの付着生成は起こらない.塩酸による金属表面のエッチングはカルサイトの付着生成量を減少させる.金属表面に傷を付けても結晶付着は促進されない.
- 公益社団法人 腐食防食学会の論文
公益社団法人 腐食防食学会 | 論文
- 圧力平衡型外部照合電極による高温水溶液中の電位測定と熱拡散電位の評価
- アコースティック・エミッション(AE)による埋設鋼管の土壌腐食診断
- 光ファイバAE計測システムを用いたCBB試験中に発生する応力腐食割れの検出
- 山間部橋梁桁各部位の実測結露時間によるぬれ環境評価
- 火力発電プラントにおけるサイクル化学の最近の話題