タワシウニの防錆塗料塗膜への損傷に対する塗膜硬さの影響
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概要
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ウニ類による海洋構造物の塗膜損傷を防止するため, タワシウニの防錆塗料塗膜への損傷に対する塗膜硬さの影響を検討した. すなわち, 塗膜硬さの異なる試験板を作製し, 実験的に3カ月タワシウニを試験板上で飼育し, 防錆塗膜の損傷状況を観察した. その結果, タールエポキシ塗料とエポキシ塗料 (実験終了後のマイクロビッカース硬さ (MVH) は, 10MVH程度と18 MVH程度) では, 鋼素地に達する塗膜損傷が観察され, 塗膜損傷発生率 (観察したウニの個体数に占める塗膜損傷を発生させた個体数の割合%) も, 50%以上と高かった. 一方, 市販されている防錆塗料で塗膜がもっとも硬いエポキシガラスフレーク塗料 (実験終了後のマイクロビッカース硬さ (MVH) は30MVH程度) では, 塗膜損傷発生率も10%程度と低く, 損傷の程度も引っ掻き傷程度のもので, 鋼素地に達する状態ではなかった. そこで, タワシウニによる鋼素地に至る塗膜損傷は, 高価ではあるがエポキシガラスフレーク塗料で, 防止可能と考えられた. また, 塗膜硬さと塗膜損傷発生率の関係から, タワシウニによる損傷を受けない塗膜性能としては, 40MVH程度以上の硬度が要求されると考えられた.
- 公益社団法人 腐食防食学会の論文
公益社団法人 腐食防食学会 | 論文
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