共通生薬成分を含む漢方薬の再投与により薬物性肝障害再発をきたした1例
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概要
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症例は61歳,女性.めまいに対して柴苓湯を処方され,29日目に食欲不振,嘔気が出現し,肝胆道系酵素の著明な上昇を認め入院となった.ウイルス感染,自己免疫性肝疾患は否定的であり,病歴から薬物性肝障害を疑った.DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリングでは9点であった.薬物リンパ球刺激試験(DLST)で柴苓湯が陽性となり,柴苓湯による肝障害の可能性が高いと判断した.グリチルリチン製剤投与で肝機能は改善した.1年半後,右季肋部痛に対して,柴胡桂枝湯を処方され,14日後に食欲不振,嘔気が出現し,再度の肝胆道系酵素の上昇のため入院となった.DDW-J 2004スコアリングでは11点であった.両漢方薬の共通生薬成分によるDLSTを行ったところ,オウゴン,カンゾウで陽性あり,これらの成分が肝障害に作用した可能性が示唆された.漢方薬による薬物性肝障害の既往歴がある際の漢方薬の投与は,成分を確認した上で慎重に行うべきである.
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一般社団法人 日本肝臓学会 | 論文
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