非アルコール性脂肪肝炎(NASH)における性差と年齢の関与―生活習慣病,脂肪測定,アディポサイトカイン,遺伝子多型を中心に―
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概要
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非アルコール性脂肪肝炎(NASH)における,性別・年齢の関与を明らかにするため,組織学的に診断されたNASH 691例を55歳を境に年齢(若年Y・高齢E)と性別(男M・女F)で4群に群別し,臨床病理学的特徴,脂肪測定,血清adipocytokine,遺伝的因子を比較検討した.高度肥満例は若年群で有意に高頻度であった(高度肥満YM 10%,EM 2%,YF 13%,EF 5%).男女とも高齢になると生活習慣病の合併,線維化の進行を認めた.CTによる脂肪測定では,性別・年齢で内臓脂肪面積は有意差を認めなかった.肝硬変合併に関与する多変量解析では,4群全てにおいて脂質異常症非合併が肝硬変合併の有意因子として抽出された.さらにEF群では糖尿病が有意な危険因子であった.adiponectinはEF群で高値で,血清IL-6はYF群で低値であった.NASHでは性・年齢により病態が異なり,これらを考慮して診療にあたる必要がある.
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一般社団法人 日本肝臓学会 | 論文
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