コッカー・スパニエルの多発性門脈体循環短絡症17 例の臨床と病理
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概要
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超音波検査および/ あるいは門脈カテーテル検査にて多発性の門脈体循環短絡症と診断したコッカー・スパニエル17 例を対象に,診療記録をもとに臨床徴候,各種検査所見,予後に関して調査・検討した。17 例の平均発症年齢は3 歳6 カ月で,性別による偏りはみられなかった。全例が何らかの臨床症状を呈し,削痩が14 例(82%),腹水症が13 例(76%)に認められた。血液化学検査では各種肝酵素値の上昇が15 ~17 例(88 ~100%)にみられ,空腹時の血中アンモニア値および血清総胆汁酸濃度の上昇,血清アルブミン濃度の低下が16 例(94%)に認められた。腹部超音波検査では16 例(94%)の左腎周囲に多発性の異常血管が描出された。開腹術を行った7 例では,全例において多発性の異常血管を肉眼的に観察することができるとともに,肝臓表面に凹凸不整を認めた。病理組織検査では好発所見として小胆管の増生がみられた。生存日数は当院初診時より平均604 日,中央値201 日であった。1 年以内に 10 例が死亡しており,負の予後因子として幼若齢での発症,下血,貧血,血小板減少,BUN の上昇,肝不全の進行などが挙げられた。
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