胆嚢粘液嚢腫の犬5症例でみられた臨床的特徴と予後
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概要
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黄疸を発現して来院し,超音波検査で胆嚢粘液嚢腫(以下GM)を疑い開腹手術を実施し,胆嚢を摘出した犬4例と,超音波検査で胆嚢が認められず開腹手術によってGMを確認し胆嚢を摘出した1例,合計5例の各種臨床検査所見および予後について検討した。主訴では全例に元気食欲の低下または廃絶と嘔吐が,身体検査では可視粘膜に黄疸がみられた。手術時に認めた胆嚢壁の壊死1例,壊死穿孔2例,破裂1例のうち,壊死穿孔の1例と壊死1例は術前に腹部超音波検査で診断できなかった。アルカリフォスファターゼ,総ビリルビン,黄疸指数の異常の程度と予後に関連はみられなかった。5例のうち年齢が7歳と10歳9カ月の2例は術後経過良好であり,術後死亡した3例は2頭が12歳,1頭が14歳と高齢であった。今回の結果から,腹部超音波検査で胆嚢内にGMに特徴的な不動性内容物の充満所見が認められた場合は,できるだけ早期に,特に黄疸が発現する前に外科的治療をする必要があると考えられた。
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