赤血球凝集反応を利用した猫用血液型判定試薬の臨床的有用性の評価
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概要
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抗Aモノクローナル抗体とTriticum vulgaris レクチンを用いた赤血球凝集反応による猫用血液型判定試薬の臨床的有用性を評価した。鳥取県内で飼育されている65例の猫に対し本試薬を用いて試験を実施し,60例(92.3%)をA型,2例(3.1%)をB型,3例(4.6%)をAB型と判定した。このうち,A型6例,B型2例,AB型2例について同一血液検体で試験を連続して5回行い,すべて同じ結果が得られ再現性が認められた。また,A型,B型,AB型の血液をドナー血液とし,A型7例,B型1例,AB型2例について従来法であるクロスマッチ試験を実施した。B型血漿との試験では,A型血球,AB型血球はいずれも凝集し,A型血漿とB型血球,AB型血球との試験では,凝集が認められないものがあった。このことから,クロスマッチ試験によりAB型血液と抗B自然抗体のないA型血液を判別できないことが確認された。以上のことから,赤血球凝集反応による猫用血液型判定試薬は,簡易,迅速に猫のABシステムの血液型を判定することができ,臨床現場における輸血前適合検査として,また,新生子溶血現象を避けるための適合妊娠検査として有用であると考えられた。
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