犬に対する脊髄造影手技が脊髄におよぼす影響についてウサギを用いた基礎的検討
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概要
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脊髄造影後の後遺障害発生のメカニズムについて、脊髄終末が犬より尾側に位置するウサギを用いて、行動観察、神経学的および病理組織学的に検討した。実験にはウサギ(n=12)を使用し、実験群は、(1)脊髄穿刺群、(2)生理的食塩水注入群、(3)等浸透圧ヨード造影剤イオジキサノール注入群、(4)低浸透圧ヨード造影剤イオヘキソール注入群とした。全身麻酔下で第5-6腰椎間より脊髄穿刺あるいは薬液を脊髄実質内に直接注入し、処置48時間後に行動観察および神経学的検査を、72時間後に病理組織学的検査を行うとともに、切片上での損傷面積率について評価した。神経学的検査では生理的食塩水注入群、イオジキサノール注入群およびイオヘキソール注入群で異常が認められた。また、穿刺部位の脊髄損傷面積率についても脊髄穿刺群と生理的食塩水注入群との間に明らかな差異が認められた。本研究の結果から、脊髄への薬液注入による組織の圧迫は、脊髄造影後の後遺障害を発生させる要因と考えられた。今後、脊髄造影を行う際には、脊髄針からの脳脊髄液の逆流を必ず確認し、造影剤の実質内注入を疑った場合には直ちに検査を中止することを提案する。なお、将来は獣医臨床における、より安全な脊髄造影手技の開発が望まれる。
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