β遮断薬(メトプロロール)の投与で長期観察を行った僧帽弁閉鎖不全症の犬の1例
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概要
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犬の僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対するβ遮断薬の有効性は明らかにされていない。今回、従来の内科的治療よっても症状改善が得られなかった重度MRを有するマルチーズ犬の1例に対してβ遮断薬(メトプロロール)の長期投与を実施した。メトプロロール投与は0.5 mg/kg/dayから開始し、2週間間隔で2.5 mg/kg/dayまで漸増した。投薬開始から10カ月間にわたり、臨床症状の著明な改善が得られ、機能的には心拍数低下、亢進した左室内径短縮率の正常化および拡張機能の改善が認められた。形態的には容量負荷に伴う遠心性心肥大は抑制されなかったが、心室壁厚が維持され、結果としてむしろ心臓が大きくなる傾向が認められた。症例は投薬開始から13カ月後に肺水腫で死亡したが、剖検では心筋線維化病変が軽度であった。本症例からβ遮断薬は犬のMRに対して有効な心不全治療薬となり得る可能性が示唆された。
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