子宮頸部初期がんに対するレーザー治療
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概要
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子宮頸がんの多くは扁平上皮癌であるが,近年わが国では腺癌の占める割合が増加している.子宮頸部扁平上皮病変に関して,異形成や0期からIa期の初期癌の子宮温存治療についてほぼコンセンサスが得られている.すなわち異形成に対してはレーザーによる蒸散術などが,また0期やIa1期に対しては,子宮頸部円錐切除術による子宮温存治療が可能である.子宮頸部円錐切除術ではcold knife,レーザー,高周波電流,超音波メス,LEEP(loop electrosurgical excision procedure)などが用いられる.これらのうち,高周波レーザーを用いた円錐切除術では0期に対してはほぼ100%の治癒率の成績が報告されている.また微小浸潤扁平上皮癌Ia1期については,円錐切除術における切除断端が陰性で脈管侵襲がなければ子宮温存が可能である.<BR>一方,腺がんの場合,0期やIa期であっても扁平上皮病変と同じ取り扱いはし難い.まず初期腺がんについては,扁平上皮病変に比べコルポスコピー下の狙い組織診による正確な病理組織診断,つまりがんの間質浸潤の有無などの評価が困難である場合が多い.したがって0期,微小浸潤腺がんの診断は円錐切除術の摘出検体でなされることが多い.『子宮頸癌治療ガイドライン(2007年版)日本婦人科腫瘍学会/編』においては,腺癌0期の治療について円錐切除術の切除断端が陰性の場合,円錐切除術を最終治療として選択する場合もあるが,単純子宮全摘術が推奨されている.その根拠は腺上皮病変ではskip lesionがあり,0期腺癌で円錐切除術の断端陰性であっても約20%に残存子宮側に病変遺残があり得るからである.また微小浸潤腺癌Ia期に関しては浸潤の深さによって治療の個別化が考慮される.浸潤が深い場合は,骨盤リンパ節郭清を含めた準広汎子宮全摘術あるいは広汎子宮全摘術,また浸潤が浅い場合,骨盤リンパ節郭清を省略した子宮全摘術が選択される場合がある.さらに妊孕性温存を希望する症例では円錐切除術を考慮する場合もある.
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特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 | 論文
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