肺癌に対するPDTの適応拡大と将来
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概要
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ある種の腫瘍親和性光感受性物質を使用した光線力学的治療(Photodynamic therapy: PDT)は,アポトーシス抑制蛋白であるBcl-2をダメージする(photodamage)することが報告されてきた.これは,放射線治療や抗がん剤治療ではみとめられないPDTのみにみとめられる現象である.<BR>「PDTによるアポトーシス抑制蛋白Bcl-2をphotodamageする」ということの意味は,今後のPDTの適応を拡大する上で非常に意味深いものである.我が国で,肺門部早期肺癌に認可を受けている光感受性物質は,Photofrin,Laserphyrinである.我々は,Photofrin-PDTは,Bcl-2をダメージし典型的アポトーシスを早期から誘導するのに対して,Laserphyrin-PDTはBcl-2をダメージせず,典型的なアポトーシスをみとめなかった.このことは,抗腫瘍効果のことなる2種の光感受性物質によるPDTを,腫瘍の種類,Bcl-2の発現量などに応じて使い分けが可能になると期待される.<BR>今後,進行肺癌などにPDTを適応拡大するためには,最適の抗がん剤,分子標的治療薬との併用が不可欠である.Photofrin-PDTは,Bcl-2の分子標的治療というコンセプトのもと,進行肺癌に対する新しい集学的治療の可能性を秘めているものと期待される.
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特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 | 論文
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