わい性および半わい性台木を利用したリンゴ'スターキング・デリシャス'樹の根成長に及ぼす栽植密度の影響
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概要
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無剪定状態で管理した樹齢11~13年生のわい性および半わい性台木を利用したリンゴ'スターキング・デリシャス'樹を用いて,根の成長に及ぼす栽植密度の影響について検討した.330樹/ha 区の根系は太い側根と下垂根で構成されていたが,3178樹/ha 区では主に側根であった.根系幅は栽植密度の増加に伴って減少したが,隣接樹の根系における交差深度は増加した.3178樹/ha 区では隣接樹の根系間で根組織の癒着現象が観察された.根系幅/樹冠幅比は栽植密度の増加に伴って減少し,根系幅の方が樹冠幅より密度効果を受けやすいことが示された.根重の垂直分布比率は栽植密度による影響が認められなかったが,1 樹当たり根重は各層とも栽植密度の増加に伴って減少し,その減少は 0~30 cm 層の大根で著しかった.1 樹当たり根重 (R) は各台木樹とも,栽植密度 (ρ) の増加に伴って減少した.R と ρ の関係は,次の逆数式によって表された. 1/R=ARρ+BR (1) ただし,AR と BR は樹齢や台木によって変化する係数.幹断面積 (θ) と 1 樹当たり根重 (R) の関係は各台木樹とも,h>1 である次の相対成長式で表された. R=Hθh (3) ただし,H は台木によって変化する係数.1 ha 当たり根重は 1 樹当たり根重と異なり,各層とも栽植密度の増加に伴って増加し,その増加は小・細根で顕著であった.1 ha 当たり根重 (¯R) は各台木樹とも,栽植密度 (ρ) の増加に伴って増加した.¯R と ρ の関係は,式 (3) の R=Hθh,式 (4) の 1/θ=Aρ+B および式 (5) の ¯R=Rρ から導かれる式 (6) によく当てはまった.¯R を最大にする栽植密度 (ρ¯Rpk) は式 (7) で与えられる. ¯R=Hρ/(Aρ+B)h (6) ρ¯Rpk=B/A(h−1) (7) ただし,A と B は樹齢や台木によって変化する係数.以上の結果から,1 ha 当たり根重は栽植密度の増加に伴って増加するが,ρ¯Rpk において減少に転じることが示された.
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