貯蔵中におけるクリ果実の貯蔵物質動態に関する走査電子顕微鏡観察
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概要
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貯蔵中におけるクリ果実の貯蔵物質動態を明らかにするため,走査電子顕微鏡を用いて貯蔵中における果実の貯蔵物質を経時的に観察した.貯蔵温度による影響を調査するため−20,2,8および20℃の計4処理区を設定し,12週間貯蔵試験を行った.収穫直後の果実内部における貯蔵物質の蓄積状態は果実の部位により様相が異なっており,外周部(背軸側)ほど細胞内部におけるデンプンの蓄積量が多く,中心部(向軸側)に向かうにつれて細胞内部に占めるデンプンの量が低下していた.貯蔵に伴う経時的変化には貯蔵温度によって差異が認められた.すなわち,−20℃では凍結によって生理活性が停止しており,貯蔵に伴う変化が認められず,その他の処理区では主要な貯蔵物質であるデンプンの分解・消費が起きていると考えられ,細胞内に占めるデンプンの観察数が減少傾向にあった.特に,貯蔵温度が高いほどその減少が速やかであった.一方で果実の部位によってもデンプンの分解・消費に差異が観察され,デンプンの蓄積量の多い果実の外周部ほどその分解も速やかであった.また,デンプンの分解活性の高い部位にはデンプンを貯蔵する細胞小器官であるアミロプラストの周囲に多量の細胞質が観察され,これら細胞質が分解活性に関与していると考えられた.
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