72穴セル成型苗を利用したイチゴ促成栽培における育苗条件および圃場の窒素含量が生育や収量に及ぼす影響
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概要
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イチゴ促成栽培における将来的な「育苗の分業化」を想定して,苗の供給者,実需者双方が活用または参照できるようなセル成型苗の利用技術について,基盤的研究を行った.'章姫','とちおとめ'および'紅ほっぺ'の3品種について,セルの容量と形状が生育や移植時のハンドリングの良さに及ぼす影響を検討したところ,72穴で1セル当たり37 mLの丸形セルトレイにおいて,挿し苗後20日で根鉢が良好に形成され,1セル容量45 mL角形や70 mL丸長形セルトレイと比較しても,生育に遜色がなかった.このセルトレイを用いた場合の適切な育苗日数について,'紅ほっぺ'を用いて調査した.20日育苗のセル成型苗は定植後の根の活着が良く,地上部の生育も良かった.頂花房の収量も,有意性はないものの30日や40日育苗に比べて多い傾向が見られた.20日間育苗したセル成型苗を,基肥施用前の土壌中の硝酸態窒素含量が8.8 mg・100 g−1乾土以上の圃場に定植すると'章姫','とちおとめ'および'紅ほっぺ'のいずれの品種でも各花房出蕾日が遅れる傾向があり,10.3 mg・100 g−1乾土では,3月までの総収量が減少した.これは頂花房の分化の遅れとともに,頂花房と一次腋花房の分化・発達期が重なることで養分競合が起こり,全体的な生育遅延を招いたことが原因と考えられた.明らかな収量低下を招かないための基肥施用前の土壌中の硝酸態窒素含量の許容範囲は,'章姫'では2.5~6.3 mg・100 g−1,'とちおとめ'および'紅ほっぺ'では4.4~8.8 mg・100 g−1乾土と判断された.
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