ウンシュウミカンの着花に及ぼす9,10-α-ケトールリノレン酸の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
9,10-αケトールリノレン酸(KODA)は,アオウキクサから単離され,数種の植物に対する花成促進作用が報告されている.本研究では,ウンシュウミカンを対象に,KODA処理が花成に及ぼす影響を調べた.まず,秋季に露地においたカラタチ台1年生ウンシュウミカンに対し,花成誘導が進んでいく過程(秋季の低温条件下)で,時期別にKODA処理を行い,摘葉高温処理後の花蕾発生数を調査した.低温遭遇に伴い,KODA処理の有無に関わらず,摘葉高温処理後の花蕾発生数は増加した.10月10日以前にKODA散布を行った処理区で,無処理区に比べ,10月30日の摘葉高温処理後に着花数の増大がみられた.この着花数の増大には,発芽節数の増大がともなう傾向にあった.一方,花成誘導が起こらない高温条件下(25℃)でKODAを処理したところ,摘葉高温処理後の着花数に影響はみられなかった.以上の結果から,KODAは,花成誘導が進む条件下で処理された場合に,ウンシュウミカンの着花を促進すると考えられた.さらに,KODAによる着花促進効果の主因は,えき芽の発芽促進であると考えられた.ただし,この着花促進効果は,低温遭遇が不十分な時期の着花で限定的に現れる傾向にあった.
- 園芸学会の論文
園芸学会 | 論文
- 液状マルチ資材の散布がコマツナの生育, 収量ならびに地温に及ぼす影響
- 生分解性鉢による育苗がトマトの生育ならびに養分含有率に及ぼす影響 : 第2報定植後の生育(繁殖・育苗)
- 生分解性鉢による育苗がトマトの生育ならびに養分含有率に及ぼす影響 : 第1報定植前の生育(繁殖・育苗)
- トマトの開花期における小花柄の脱離過程
- トマト果実の完熟後における小果柄の脱離組織の形態的変化