界面活性剤および硫酸鉄処理によるスギ樹皮を培地としたシクラメン鉢物の生育改善
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概要
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スギ樹皮の鉢物花卉栽培への利用を目的として,シクラメンを材料にスギ樹皮培地の撥水性と生育阻害性の改善を検討した.供試したスギ樹皮は,重力水排出時の固相率12%,液相率55%,気相率32%から構成されていた.また,仮比重が0.15 g・mL−1,pHが6.13であった.スギ樹皮培地に非イオン系界面活性剤(アクアグロー2000L)を処理することにより,吸水性が向上した.直径15 cmのポットに定植した中輪系シクラメン'F1Kミディコーラス'の点滴灌水栽培において,界面活性剤処理は生育に影響しなかった.一方,エブ・アンド・フローによる底面給水栽培では,界面活性剤処理により乾燥に伴う培地の水分張力の上昇程度が小さくなり,培地の撥水および植物の萎凋が抑えられ,生育が促進された.硫酸第一鉄0.3%溶液に浸漬処理したスギ樹皮培地で栽培すると,直径15 cmのポットに定植した中輪系シクラメン'F1Kミディコーラス'の点滴灌水栽培,および,直径9 cmのポットに定植した小輪系シクラメン'F1ミラクルディープローズ'の底面給水栽培のいずれにおいても,無処理の区と比較して生育が著しく促進された.植物の根の生育を阻害すると考えられるスギ樹皮中のタンニンが,硫酸第一鉄と結合して不活性化され,シクラメンの生育が改善されるものと推察された.
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