飽水木材の熱軟化特性に及ぼすリグニンおよびヘミセルロースの影響
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概要
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飽水状態にある木材の熱軟化特性に及ぼすリグニンおよびヘミセルロースの影響について更なる知見を得ることを目的として,程度の異なる脱リグニン処理および脱ヘミセルロース処理をした飽水ホオノキ放射方向試料を作製し,温度範囲5~95℃における動的粘弾性測定を行った。いずれの処理試料でも,処理の程度が強くなるほど,動的弾性率は低下した。リグニンのミクロブラウン運動に起因する損失正接のピーク温度は,処理による重量減少率が増加するにつれて,脱リグニン処理試料でははじめに大きくその後徐々に低温側にシフトしたが,脱ヘミセルロース処理試料でははじめ横這いでその後僅かに高温側にシフトした。木材の組織構造や処理の機構を考慮に入れてこれらの結果を総合的に考察すると,飽水木材の放射方向の熱軟化特性,特に熱軟化温度は,ヘミセルロースの量や質の変化よりもリグニンの量や質の変化の影響を大きく受けることが示唆された。
- The Japan Wood Research Societyの論文
The Japan Wood Research Society | 論文
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