木材の力学的性質に及ぼす温度履歴の影響(第2報)不安定状態にある木材の力学的性質評価に関する最適条件の検討:不安定状態にある木材の力学的性質評価に関する最適条件の検討
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概要
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本研究は,温度の急激な状態変化に基づく木材の特異な力学的性質の変化について,応力緩和測定による流動量(1-<I>E</I>t/<I>E</I>0),その時間経過による解消,すなわち不安定状態の発生と解消を検討する実験上の留意点,最適実験条件,加えて不安定状態にある木材の強度的性質の変化について検討したものである。得られた結果は,以下の通りである。<BR>1) 不安定状態にある木材の力学的性質を評価するために,応力緩和におよぼす初期たわみ依存性を検討した。その結果,流動量(1-<I>E</I>t/<I>E</I>0)に及ぼす初期たわみ依存性は認められなかった。<BR>2) 温度80℃における飽水材の応力緩和は,80℃の温度に3日間連続して保持しても0.5日の浸せき時間のものと等しい応力緩和経過を示し,自己加水分解や熱分解の影響のないことが明らかになった。<BR>3) 温度急上昇後の測定開始時間による応力緩和の変化を検討した結果,不安定度を評価するにあたり,材温との関係で温度変化後に適当な浸せき時間があることが明らかになった。<BR>4) 温度下降,続く上昇の極めて短時間の状態変化による不安定状態の発生を検討した結果,温度履歴試片は,長時間一定に保持したコントロール試片と変わらない緩和量を示した。これは,一般の高分子材料に認められる過去の刺激を記憶している記憶効果の存在によると考えられた。<BR>5) 不安定状態にある木材の曲げ強度は,不安定度に応じて強度の低下を生じることを認めた。
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The Japan Wood Research Society | 論文
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