高齢歯科患者の口腔不快症状の実態:口腔乾燥感, 口腔内粘稠感, 味覚の異常感
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概要
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本研究は歯科を受診した患者の口腔不快症状 (口腔乾燥感, 口腔内粘稠感, 味覚の異常感) の自覚状況を検討するために行ったものである。東京医科歯科大学歯学部附属病院高齢者歯科治療部の外来患者260名 (70歳以上), 日立製作所東海佐和診療所および人事院歯科診療室の外来患者129名 (30歳から59歳まで) を対象に口腔不快症状の調査を質問紙法により行った。被検者を年代別に30歳代, 40歳代, 50歳代, 70歳以上の各群に分類し, 結果を比較した。<BR>1)口腔不快症状を主訴として来院した被検者は70歳以上の被検者のみであり, その割合は70歳以上の男性の2.7%および女性の10.0%であった。<BR>2)口腔乾燥感, 唾液量減少感, 口腔内および唾液の粘稠感, 味覚減退感, 異常味覚の出現率は男性では70歳以上群と他群とでは有意な差はなかったが, 女性では口腔乾燥感の30歳代群を除いて70歳以上群が他群よりも有意に高かった。70歳以上群の自覚症状の出現率は唾液量減少感を除いて女性が男性よりも有意に高かった。<BR>3) 70歳以上群では口腔乾燥感のある被検者は口腔乾燥感のない被検者よりも男女ともに唾液量減少感, 口腔内粘稠感, 唾液粘稠感, 味覚減退感, 異常味覚の出現率が高かった。<BR>口腔不快症状を主訴として歯科を受診しないまでも高齢者はこれらの症状を自覚している者が多いため, 歯科診療に際してはこれらの口腔不快症状に対する配慮を忘れてはならない。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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