磁性アタッチメントを応用したオーバーデンチャーの一症例:その適応と機能的経過
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概要
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加齢により顎口腔系機能が低下している高齢者に義歯を装着することは, 顎口腔系に急激な環境の変化を引き起こす可能性が考えられる。このとき義歯に対してどの様に適応していくのかを知ることは, 高齢者の補綴処置を考える上で意義のあることである。今回の症例は, 残存歯が著しく舌側に傾斜しているため, 従来からのクラスプ義歯では着脱が困難であり, かっ審美的にも問題があると診断された。そこで, 最終義歯作製までの咀嚼機能と咬合を維持するために暫間義歯を作製し, 前処置終了後, 最終義歯として磁性アタッチメントを応用したオーバーデンチャーを作製した。またこの様な補綴処置に対する機能的適応を観察するたあ, 術前から咀嚼筋筋電図と顎運動を同時記録した。<BR>その結果, ガム咀嚼時のCVが, 最終義歯装着後, 経日的に低下した。<BR>さらに筋活動電位は, 咬みしめ, タッピング, ガム咀嚼それぞれの傾向は異なるものの, 最終義歯装着後より漸次増加した。<BR>またガム咀嚼時における運動経路の経過は, 義歯装着直後から経日的に各ストロークの中心咬合位に収束し, 一定した涙滴状を示すようになった。<BR>以上より磁性アタッチメントの応用により機能的, 審美的に患者の満足を得ることができ, アタッチメントの有効性が推察されると共に, 咀嚼筋筋電図と顎運動の分析から時間経過に伴う新義歯に対する適応が観察された。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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