無歯顎患者の健康状態と補綴の予後
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概要
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義歯装着者を義歯に対する順応性の良否によって分類し, 床下粘膜の評価と術前, 術後の咀嚼機能スコアによる予後の判定を比較検討した。併せて既往歴, 精神的および肉体的自覚症状等からなる健康調査票 (KMI) との関連性について検討を行った。<BR>1. 顎堤の状態と義歯に対する順応性との関連性は特に認められず, 視診や触診等の口腔内診査では限界があると考えられた。<BR>2. 咀嚼機能スコアは両患者群共に術前に比べ術後では約1.5倍高くなった。しかし, 義歯に順応しない患者群は術後でも, 義歯による咀嚼機能に満足しない状態であった。一方, 義歯に順応する患者群の多くは術後には義歯による咀嚼機能に満足する状態であった。<BR>3. 健康調査票の集計結果, 義歯に順応する患者の多くは既往歴, 精神的および身体的な自覚症状が少ない傾向にあった。一方, 義歯に順応しない患者では上述の3項目ともに多い傾向であり, またその合計も多かった。<BR>以上のことより, 無歯顎患者の義歯治療を行う上で, 口腔内の診査のみではなく, 患者の既往歴, 精神的および身体的な健康状態を把握することが治療の難易の理解および治療方針決定等の治療進行上ならびに術後の経過に有効であると考えられる。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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