歯性感染病巣治療後不明熱が改善された要介護高齢者の一例
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概要
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継続的に専門的口腔ケアを実施していたものの原因不明の発熱が長期間継続していた要介護高齢者患者に対して, 根尖性歯周炎を有する残根の抜歯により発熱が改善した症例を経験した。<BR>患者は73歳女性で, 平成16年2月の特別養護老人ホーム入所当時より37~38℃ 台の原因不明の発熱が持続していた。重度認知症を有しており口腔環境は不良だったため, 歯科衛生士による専門的な口腔ケアを施行し, 徐々に口腔環境は改善していったが発熱の状態に著しい変化はなかった。平成17年4月下旬より左上6相当部に腫脹を認め, X線撮影を行ったところ, 残根およびその根尖部周囲に類円形の透過像を認めたため, 消炎後, 全身管理下に抜歯を行った。術後, 持続的な発熱は改善した。<BR>要介護高齢者は感染源となりうる多数の齲歯や歯周炎罹患歯などを有しているケースも多く, 口腔ケアだけでは口腔内環境の改善が困難なこともしばしば見られる。また, 要介護高齢者は認知症の進行などによる強い拒否行動を認めることがあり, 訪問診療で精査を行うことが困難なことが多い。<BR>今回, 早期にX線診査などを行っていれば, 速やかに感染源の除去を行うことができ, 発熱も改善されたと考えられた。すなわち, 要介護高齢者に対しては早期に精査を行い, 可能な限り全身管理下に速やかに歯科治療が行われるべきであると考えられた。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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