地域高齢者における口腔保健状況と歯科治療の必要性に関する研究
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概要
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我が国はいま人口の高齢化率が急速に上昇している。本研究は, 高齢者の心身状況および口腔内状態を把握し, 歯科的諸問題を明確にするために, 高齢者を要介護高齢者群と日常生活自立高齢者群とに区分し, 心身状況, 口腔保健等に関する項目について実態調査を行い検討した。<BR>対象者は要介護高齢者群32名, 日常生活自立高齢者群211名, 計243名, 平均年齢76.3±9.05歳であった。<BR>心身状況では, 全身疾患・痴呆の有無, ADLの状況等において有意差を認めた。口腔内の状態では, 咀嚼や嚥下などの口腔機能障害や口腔衛生不良な者が要介護者群に多くみられた。何らかの歯科治療や指導が必要と判断された者は要介護者群88%, 自立高齢者群79%であったが, 実際に治療中であった者はそれぞれ34%, 11%と極めて少なく, 口腔と健康に対する自覚の乏しさが明らかとなった。<BR>要介護高齢者は日常的に生活介助を受けているにも関わらず, 深く口腔内にまでケア介入されていないのが現状で, 包括的口腔衛生管理の確立を目指す必要性が示された。また, 介護状況に関わらず, 高齢者には歯科的諸問題が多々あり, 口腔内環境の維持・改善には医療提供者側, 受給者側双方の積極的な意識改革の必要性が示唆された。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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