全国高齢者における主観的健康感と, 見え方, 聞こえ方, および噛め方との関連について
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概要
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高齢者の聴覚, 視覚および咀嚼能力と, 主観的健康感との関連を調べた。1999年に日本大学総合学術情報センター縦断研究において, 全国の65歳以上を対象とした訪問面接パネル調査を実施した。質問項目のうち, 主観的健康感を従属変数とし, 加齢により健康に影響が及ぶとされる, 見え方, 聞こえ方, 噛め方, 抑うつ尺度, モラール尺度に年齢と性別を加えて独立変数とする多項ロジィスティック回帰分析を行った。分析には必要項目に回答した3, 069名の資料を用いた。<BR>主観的健康感と最も関連が強かったのは見え方であり, 健康感のすべての群で有意な関連があった。聞こえ方は「全く」あるいは「かなり」健康と答えた2群で関連があった。咀嚼能力では「あまり」あるいは「全く」健康でないと答えた2群で関連があった。CESDスケールとPGCモラールスケールではすべての群で関連があった。性別では健康な2群で関連していたが, 年齢はどの群でも関連が認めらなかった。<BR>すなわち, 高齢者においては, 噛む能力は機能低下を敏感に感じる見え方や聞こえ方とは違い, かなり低下してから不健康と認識することが示された。歯科保健の立場からみて, 高齢者においては, 咀嚼能力が十分備わっている間の噛めることに対する価値観が低いことと, 咀嚼能力の不足は不健康感の重大な要因であることが示された。今後これらの状態を改善するための方策が必要である。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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