特別養護老人ホームにおける介護保険の要介護状態区分による口腔内状況と口腔ケアの問題点について
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概要
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急速な高齢社会を迎える我が国では平成12年度より介護保険法が施行される。今回の調査において介護認定度による口腔内状況や口腔ケアの問題点について検討した。<BR>対象者は岐阜県大垣市に立地する特別養護老人ホームの入所者93人で, 平均年齢81.7歳であった。要介護状態区分は自立4人, 要支援2人, 要介護Iが5人, IIが24人, IIIが19人, IVが26人, Vが13人で, 寝たきり度はAランクが最も多く57人で, Bランクが15人, Cランクが14人であった。有歯顎者は64人, 無歯顎者は29人であった。無歯顎者を除いた1人平均残存歯数は11.3本, 1人平均う歯数は6.2本であった。残存歯数に対するう歯数の割合は, 要介護度に伴い増加傾向を示した。歯口清掃状態は要介護度に伴い不良になり, 有歯顎者の歯磨き介助は要介護度に伴い介助者が行う割合が増加した。有歯顎者64人中, 有義歯者は24人, 無義歯者は40人であった。無義歯者のうち咬合が崩壊している者は33人と8割を越えていた。有義歯者はほとんどの人が義歯を使用していたが, 義歯清掃は要介護度に伴い介助者が行う割合が多かった。<BR>以上より, 入所高齢者の口腔内状態は良好でなく, 訪問歯科診療が必要である。さらに要介護度に伴い歯磨きや義歯清掃の介助の必要性が増加するため, 施設職員を含めた口腔ケアのプログラム作成や口腔保健に関する啓蒙活動などの介護保険上の取り組みが重要である。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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