典型的な症状を欠いた後期高齢者における気管支異物の一症例
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概要
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歯冠補綴物を気管内に落下させたが咳漱反射などの症状がなく, 食道異物として対応しかけた後期高齢者の1症例を経験した。<BR>患者は89歳の男性で, 試適中に誤って歯冠補綴物を咽頭部に落下させた。気管支異物を疑わせるような咳漱反射がなく, その発生頻度からも食道異物を強く疑った。胸腹部レントゲンでは異物陰影は胃よりも上部にあり左方に偏位していた。高齢者では食道が偏位していることが多いので食道異物であろうと歯科放射線科医からコメントがあった。しかしながら, 胃に落下するのに十分な時間が経過していたことと, 偏位が大きすぎるという疑問が否定できなかったため, 食道造影下に再度撮影を依頼した。その結果, 気管支異物であることが判明した。ただちに呼吸器内科に搬送し, 気管支ファイバースコープによる摘出を行った。<BR>高齢者は小児と並んで気管支異物が発生しやすい年齢層であるが, 本症例のように典型的な症状が認められないことが多い。高齢者の異物事故ではこのことを十分に考慮し, 気管支異物を見逃さないように慎重に対応する必要がある。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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