遅発性オーラルジスキネジアの発現と診査所見との関連性:服用薬, ADLおよび咬合状態について
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概要
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高齢者に用いられる精神神経用薬や, 抗うつ薬などの抗神経病薬の副作用として起こるparkinsonismの発生機序はドーパミン受容体のサブタイプと脳内ドーパミン作動系の研究の進展に伴って, かなり明らかになってきた。しかし, その一方で長期的なドーパミン性神経伝達の阻害がなぜ遅発性ジスキネジア (TD) を生じるかは未だ明らかにされていないのが現状である。<BR>われわれ歯科領域に関連の深いオーラルジスキネジア (OD) は不随意な咀嚼様運動, 口唇や舌の突出などを主症状とし, その結果, 義歯の疼痛部位の発現, 咀嚼障害, 発音障害, 義歯作製困難などをもたらす。錐体外路系の部分症状として発現するオーラルジスキネジアは, 原因薬の投薬の漸減や中止, または処方内容の変更などで改善が期待される一方で, 不良義歯の調整や, 新義歯作製により症状が軽減ないしは消失するとの報告もある。<BR>そこで今回われわれは遅発性オーラルジスキネジア (TOD) の発現と服用薬, ADLおよび咬合状態などの診査所見との関連を明らかにする目的で要介護高齢者151名に対し調査を行った。<BR>原因薬を服用中のものは151名中38名であり, そのうち, ODの発現の認められたものは15名であった。<BR>原因薬服用中の38名において, ODの発現と年齢, 性別, ADLの3項目の間には関連があるとはいえなかったが, 咬合状態との関連性は認められた。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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