千葉市における在宅要介護老人の歯科保健に関する実態調査 (第2報):在宅要介護老人歯科保健医療のニーズ
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概要
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千葉市においては平成5年度より固定診療所方式 (センター方式) での要介護老人歯科診療が開始されたが, 口腔保健事業実施の際の問題点を検討するため, 第1報の調査結果において老人のおかれている環境や年齢, 障害の程度が口腔保健にどのような影響をもたらしているのか, さらに歯科治療へのニーズについて検討を加えた。<BR>今回の年齢別の歯の残存状況に関する解析では上顎については60歳代より無歯顎および残根歯を含めたものが各年齢群で半数以上を占めており, 下顎については75歳以上で無歯顎者が半分以上を占めていた。新義歯作製および修理調製希望者については, 70歳代では希望者が半数近くを占めているが, 85歳以降では希望しない者の割合が急に高くなった。また, 歯科診療希望の有無については70歳代までは希望する者が多くみられるが, 80歳以上の群では希望しない者の割合が明らかに高くなった。さらに, 歯科医師による判定では, 70歳までは大部分の者が通院歯科治療の対象者であるが, 80歳以上になると処置不要ならびに不能と判定される者が顕著に増加していた。<BR>食事に関するADLについては, 上下顎とも自力で可能, 一部介助の者では義歯非保有者の割合は, 義歯保有者に比較して少ないが, 全面介助の者では義歯非保有者の数が保有者を上回っていた。<BR>欠損があるのた義歯を装着しない者について装着しない理由を検討すると, 「あきらめている」と答えている者が最も高く, 次いで「必要なし」「歯科医院に行く手段がない」「歯科医院につれて行く人がいない」の順で多かった。これに対して, 歯科医師所見では, 通院歯科治療可能と判定された者は, 上顎に義歯を装着していない者の中の75%, 下顎では53%と高い割合であった。<BR>歯科医師所見と診療希望の有無および希望しない理由については, 歯科診療を希望している23名について歯科医師所見をみると, 全ての者が通院歯科治療が可能であると担当医は判断していた。歯科診療を希望しない理由と歯科医師判定については「必要がない」と回答した20名のうち12名で歯科医師も処置不要と判定していた。また, 「あきらめている」と答えている者12名の中では, 歯科医師が処置不要と処置不能と判断した者は合計4名のみであった。歯科医院につれて行く手段あるいは人がいないと回答した者については処置不要あるいは不能と判断された者は全くなく, 全て治療もしくは保健指導を必要とする集団であった。
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一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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