高齢者下顎無歯顎症例に対するインプラントの使用経験
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概要
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高齢者の多くが義歯装着者であることを考えると, 高齢化社会を迎えて高齢者の口腔機能回復のための義歯の果たす役割は大きい。しかし, 少数歯欠損例に比べ, 高齢者の無歯顎例では加齢的変化に伴った骨吸収のために生じる, いわゆる総義歯難症例を多く経験する。また, 顎骨を含めた腫瘍切除が行なわれる高齢者の口腔癌患者においては, 術後に起こる機能障害の回復もまた大きな問題の1つである。今回, われわれは65歳以上の高齢者で歯槽堤過吸収あるいは腫瘍により顎骨切除を行った症例に対し, 歯科用骨肉インプラントを用いて咀嚼機能の改善を計った症例を経験したので報告する。対象症例は8例で男性2例, 女性6例, 年齢は66歳~78歳 (平均71.2歳) であり, 部位はいずれも下顎無歯顎である。使用したインプラント材料はチタン合金にハイドロキシアパタイトをコーティングしたINTEGRAL (カルシテック社, アメリカ) による2-pieceインプラントシステムを用いた。本報告例の経過では最終補綴物装着後最短5ヵ月から最長1年5ヶ月の観察期間ではあるが, 義歯装着によりすべての症例で咬合咀嚼機能は比較的良好であり, 本法は高齢者総義歯難症例に対して極めて有用であったので報告する。
- 一般社団法人 日本老年歯科医学会の論文
一般社団法人 日本老年歯科医学会 | 論文
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