好酸球性副鼻腔炎の手術症例における臨床検討
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概要
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2008年6月から2011年8月に当科入院して初回ESSを行った好酸球性副鼻腔炎(ECRS: eosinophilic chronic rhinosinusitis)症例の中で1年以上経過観察し,術後に副鼻腔CT,嗅覚について評価できた14症例を対象とした。男性8例,女性6例。年齢中央値54歳 (23~74歳)。術後観察期間は中央値12か月 (12~26か月)。ECRSの診断は,両側鼻閉かつ嗅覚障害,両側鼻茸,高好酸球血症,術前CTで篩骨洞病変優位をすべて満たすものとした。副鼻腔CTは,Lund-Mackay systemに準じて副鼻腔および嗅裂で両側24点満点として,病変の割合 (CTスコア) とした。嗅覚は,日常のにおいアンケート (SAOQ: self-administered odor questionnaire),VAS (visual analog scale),基準嗅力検査の平均認知域値で評価した。術中所見は両側同様に前部篩骨洞のポリープ病変が最も多かった。術後CTも前部篩骨洞の病変が最も多く,蝶形骨洞が最も少なかった。平均CTスコアは,術前71%から術後44%と有意に改善した (p=0.0026,n=14)。嗅覚は,平均SAOQ (p=0.0400),VAS (p=0.0159),平均認知域値 (術前5.3,術後3.8,p=0.0077) はいずれも有意に改善した。嗅覚の改善率は50% (7/14例) で,嗅覚改善例はCTスコアのいずれの副鼻腔および嗅裂も良好であった。今後は症例を増やして術後成績を検討し,成績不良例について要因を追究することが課題である。
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