電気探査法による有明・八代海の海底下浅部の地質構造のイメージングと地下水湧出経路推定への応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
海底下浅部の地質構造を明らかにすることは,伏在断層の抽出,水質の空間分布の解釈,地下水の湧出経路の特定において重要である.海底下の活断層の位置や分布は音波探査により調査されている.しかし,音波探査では地下水についての情報は得られない.そこで,地下水を含む海底下約50 mの範囲の地質構造をイメージングするために,九州中部の有明・八代海を対象として,曳航型海底電気探査を適用した.両海は日本を代表する閉鎖性海域であり,地下水資源が豊富な熊本・八代平野に面している.測定に使用したケーブルの長さは250 mで,これに20本の電極を設置した.有明・八代海にそれぞれ4本,8本の計26 kmの測線を設定し,信頼性の高い比抵抗データを得るために3極法を採用した.海水の厚さを考慮した電位補正法と1次元インバージョン解析によって,宇土半島周辺で正断層を示唆する特徴,および地下水湧出経路と考えられる幅200 mの高比抵抗帯の存在が明らかになった.白川・緑川の河口では,後氷期の厚い海成粘土層(有明粘土層)の中に周囲に比べて高い比抵抗帯が現れた.これは海底地下水が陸源性野の淡水に起因し,この大規模な分布が高比抵抗帯に関連すると解釈した.八代海測線のインバージョン解析結果からは,日奈久断層の延長線上で比抵抗が大きく変化することがわかった.これは日奈久断層の繰り返し,かつ新しい動きによって,地下水湧出経路が形成されているためと考えられる.
- 一般社団法人 日本応用地質学会の論文
一般社団法人 日本応用地質学会 | 論文
- 沖縄本島ビーチロックの物理・力学特性
- 海面処分における水中の沈降物の底面への衝撃に関する一考察
- 気仙沼湾内津波堆積物中の珪藻遺骸群集解析に基づく津波時の土砂移動の推定
- 土木構造物の維持管理における応用地質学の役割
- 電気探査法による有明・八代海の海底下浅部の地質構造のイメージングと地下水湧出経路推定への応用