食道がん術後の創部痛にレスキューを伴うオピオイド鎮痛薬の処方を行い依存症に陥った1症例
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概要
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201X年に当科受診の食道がん術後の66歳男性.8年前のA病院にての術直後は,痛みなく日常生活が可能であったが,2年後に食道再建部の狭窄が生じたため拡張術を受け,その頃より創部と吻合部の痛みを訴えるようになった.がん性痛との主治医の診断のもと,モルヒネ速放剤の投与が開始となり,その後B病院緩和ケア科に紹介され,約5年間オピオイドによる痛みのコントロールが行われた.当院初診時には,数種類のオピオイド処方と頓用のモルヒネの頻回使用により,モルヒネ換算で500 mg/日以上を使用している状態でありモルヒネ依存を呈していたが,入院のうえ漸減を試み,離脱に成功し社会復帰できた1症例を経験した.WHO方式がん疼痛治療法に準じた,痛みがとれるまでのオピオイドの増量,レスキュー使用を含めた管理は,"がんそのものによる痛み"に通常適応があり,術後の慢性創部痛である本症例では,オピオイド依存の可能性が生じるため適応とならない.本症例は,非がん性慢性痛に対するオピオイド鎮痛薬処方に準じた治療と管理が必須となる.
- 一般社団法人 日本ペインクリニック学会の論文
一般社団法人 日本ペインクリニック学会 | 論文
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