高齢発症の劇症型自己免疫性肝炎の1例
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概要
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高齢発症の劇症型自己免疫性肝炎救命例を経験した.症例は82歳の女性.高血圧症で通院中であったが,それまで肝障害を指摘されたことはなかった.入院2-3週間前より倦怠感と褐色尿が出現し,入院前日に黄疸に気付き入院.T-Bil 16.6 mg/dl,PT 36.5%,IgG 4608 mg/dl,抗核抗体80倍,肝炎ウイルスマーカーは陰性.健康食品や新たな薬剤服用歴はなかった.急性肝炎重症型と診断し,入院当日よりステロイドパルス療法を施行した.翌日に羽ばたき振戦が出現し,肝性脳症II度となり,自己免疫性肝炎による亜急性型劇症肝炎と診断.PTは改善傾向を認め,引き続きプレドニゾロンを投与し,肝機能検査値は改善した.本症例は高齢にも関わらず早期の副腎皮質ステロイド治療が奏効した劇症型自己免疫性肝炎症例であり,自己免疫性肝炎重症例に対し早期診断および治療の重要性を示唆する症例と考えられた.
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一般社団法人 日本肝臓学会 | 論文
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