アロマターゼ阻害剤が著効した高度黄疸を伴うびまん浸潤性乳癌肝転移の1例
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概要
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症例は44歳の女性で,2006年8月に右乳癌(StageIIb)に対し,乳房部分切除術と腋窩リンパ節郭清術を行った.2010年9月に黄疸が出現したが,画像上明らかな異常は認めなかった.その後,肝生検にて乳癌のびまん浸潤性肝転移と診断された.総ビリルビンが24.1 mg/dlまで上昇し,life-threateningの状態となったため,血漿交換(PE)を施行した.黄疸とPSが改善したため,引き続きアロマターゼ阻害剤(AI)投与を開始したところ,肝機能の改善と腫瘍マーカーの低下を認めた.黄疸出現後3年経過しているが,現在も生存中である.一部の乳癌や胃癌では,画像上,明らかな腫瘤を形成せず,びまん浸潤性の肝転移から肝不全や肝硬変を呈する症例が稀に報告されている.予後不良とされているが,PEやAI投与により劇的に改善し,長期生存を得た症例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.
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一般社団法人 日本肝臓学会 | 論文
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