混合型肝癌と肝細胞癌の同時性重複癌の1切除例
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概要
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症例は66歳の男性で,近医にて肝腫瘍を指摘されたため精査加療目的に当科紹介となった.腹部超音波検査にて肝S6およびS7頭側,S7尾側の3カ所に低エコーな腫瘍性病変を認め,造影CTではS6腫瘍は周囲に造影効果を受ける腫瘍として描出され,S7頭側およびS7尾側の腫瘍は造影効果の乏しい腫瘍として描出された.S6腫瘍に対して生検を行ったところ,混合型肝癌の診断であったため,肝後区域切除術を施行した.病理組織学的検査ではS6腫瘍は混合型肝癌で,S7頭側およびS7尾側の腫瘍は肝細胞癌であった.術後約7年の現在,生存中である.混合型肝癌と肝細胞癌の両者が同一肝臓内の異なる部位に同時に存在する,いわゆる重複癌はまれな疾患である.われわれはその1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
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一般社団法人 日本肝臓学会 | 論文
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