半量のソラフェニブにより完全奏効が得られた肝細胞癌腹膜播種の1例
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概要
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症例は87歳の男性.2004年に他院にてC型慢性肝炎,肝S8に肝細胞癌を指摘され,肝動脈化学塞栓療法(TACE)および経皮的エタノール注入療法(PEI)を施行された.以後,近傍の再発病変などに対してTACEやPEIが複数回施行された.2010年当院に紹介受診され,2011年10月と2012年1月にS8病変に対してTACEを施行した.2012年7月のCTにて肝周囲腹壁に多数の早期濃染結節を認め,同時にAFPの急激な上昇がみられHCC腹膜播種の診断となった.全身状態は良好であったが高齢のためソラフェニブ400 mg/日の内服を開始したところ,投与開始早期より著明な腫瘍縮小が認められ,投与開始後5カ月で腫瘍は消失,腫瘍マーカーの正常化が得られRECIST規準での完全奏効(CR)と判定した.1年以上経過した現在も200 mgに減量して継続中で,再発徴候は認められていない.HCCの腹膜播種に対してソラフェニブにてCRが得られた症例は稀であり貴重な症例と考えられた.
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一般社団法人 日本肝臓学会 | 論文
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