肝多発腫瘤性病変を呈し,抗結核薬が著効した肝結核の1例
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概要
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症例は41歳男性.尿潜血の原因検索のため行った腹部単純CTで肝S7, 8を中心に多発する低吸収な腫瘤性病変を認め,ダイナミック造影では辺縁部から緩徐な造影効果を呈した.画像による鑑別は困難で,組織学的検索の同意は得られず,経過観察となった.しかし,約半年後に病変は増大・増加したため狙撃生検を施行したところ,組織学的に非乾酪壊死性の類上皮細胞肉芽腫を認めた.肝結核やサルコイドーシスを疑ったが,全血インターフェロンガンマ応答測定法や生検組織の結核菌PCRは陰性で結核を示唆する所見は得られなかった.一方,血清カルシウムやアンギオテンシン転換酵素は正常で,両側肺門部リンパ節腫脹も認めず,サルコイドーシスは否定的であった.短期間で増悪する経過から,結核の可能性を強く疑い,抗結核薬を開始した.治療半年後に病変はほぼ消失した.確定診断に苦慮したが,治療が奏功した肝結核の1例を経験したので報告する.
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一般社団法人 日本肝臓学会 | 論文
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