高分子量オルトクレゾール樹脂の分子形態
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概要
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高分子量オルトクレゾール樹脂を合成し, 主鎖の分子骨格の影響を検討するためアセチル化後にその溶液物性を検討した。本論文では, THFを良溶媒, THF/シクロヘキサン混合溶媒をθ溶媒として, 極限粘度 [η] および二乗平均回転半径<S<SUP>2</SUP>>から, 高分子量アセチル化オルトクレゾール樹脂の分子形態について検討した。Mark-Houwink-Sakurada (MHS) 式 ([η] -KM<SUP>a</SUP>) の指数aの値は, THF中で0.46, θ溶媒中で0.28となり, ポリスチレンの場合に比べ, かなり小さくなった。しかしながら, 排除体積効果を示す膨張因子α<SUB>η</SUB><SUP>3</SUP> (= [η] / [η] <SUB>θ</SUB>) は, アセチル化オルトクレゾール樹脂とポリスチレンは同様な傾向を示した。一方, アセチル化オルトクレゾール樹脂の回転半径<S<SUP>2</SUP>><SUP>1/2</SUP>の分子量依存性を示す指数b値は, THF中で0.6, θ溶媒中で05となり, ポリスチレンと同様な値をとることが明らかとなった。さらに, 高分子量のアセチル化オルトクレゾール樹脂はθ溶媒中でガウス鎖としてふるまうことがわかり, 線状高分子の特徴を有していることが確認された。以上のように, 高分子量のアセチル化オルトクレゾール樹脂は, ベンゼン環とメチレン結合からなる分子骨格に由来して極限粘度と回転半径で分子形態の評価に差が見られたが, ポリスチレンと同様な排除体積効果を示すなど, 線状高分子として挙動することが明らかとなった。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文
著者
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中本 義章
金沢大学大学院 自然科学研究科
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山岸 忠明
金沢大学大学院 自然科学研究科
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棚橋 祐介
金沢大学大学院 自然科学研究科
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生越 友樹
金沢大学大学院 自然科学研究科
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王 鵬飛
金沢大学大学院 自然科学研究科
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東出 将賢
金沢大学大学院 自然科学研究科
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