フェノリックジスルフィドによる金に対する接着性向上の検討
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概要
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近年, 電子機器の配線には金が多用されている。しかしながら, ほとんどの樹脂は金には接着し難く, このことが電子材料用樹脂にとって大きな問題となってきた。一方, 金に対してはイオウが結合し易いことが知られている。そこで, 樹脂中にイオウを含む官能基を導入し接着過程で金とイオウとの結合 (Au-S結合) を形成できれば, 金に対する樹脂の接着性を向上させることが可能であると考えた。また, 電子機器実装分野ではエポキシ樹脂が多く用いられているので, フェノール誘導体にチオール基やジスルフィド基を導入した添加剤を合成し, これをエポキシ樹脂に添加した場合の接着性を評価した。チオール基を有する添加剤では接着力は低下した。これはチオール基がエポキシ基と反応して, 樹脂の硬化を阻害し樹脂強度を低下させたためと考えた。一方, 量子化学計算を用いて金とジスルフィド基との相互作用を計算した結果, ジスルフィド基は金の近傍でS-S結合が開裂してAu-S結合を生成した。そこで, ジスルフィド基を有するフェノール誘導体を合成し接着性評価を行った。その結果, 封止材用エポキシ樹脂に2wt%添加することにより, 金に対する接着強度が12%, 接着エネルギーが24%向上した。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文
著者
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陶 晴昭
日立化成工業
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熊木 尚
日立化成工業
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立木 秀康
日立化成工業 (株) 先端材料研究所
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熊木 尚
日立化成工業 (株) 電子材料研究所
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福地 巌
日立化成工業 (株) 機能性材料研究所
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陶 晴昭
日立化成工業 (株) 化成品事業部
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福地 巌
日立化成工業
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立木 秀康
日立化成工業
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