相分離系植物資源変換システムへの物理エネルギー付加の効果:超音波によるリグニンのリグフェノールへの変換
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概要
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相分離系植物資源変換システムは, リグノセルロース素材を構成する天然リグニンおよび炭水化物に対して, それぞれフェノール系および水系機能環境媒体を適用することにより, 常温開放系にて単純な撹拌操作のみで天然リグニンをリグニン系リニア型素材(リグノフェノール), そして炭水化物を低分子炭水化物区分へと分離・変換し得る。本研究では, 相分離系反応, すなわち濃酸による炭水化物の膨潤・加水分解およびリグニンへのフェノールグラフティング反応時に付加する物理エネルギーとして超音波を選定し, 細胞壁構成素材の分離・変換効果に関して検討を加えた。その結果, 反応時間15分で比較的高分子量 (約30,000) のリグノフェノールが誘導され, その収率はコントロールに比べ約2倍であった。これは, 超音波の照射により高次構造を有する炭水化物の加水分解が促進され, リグノフェノールが総体的かつ効果的に変換・分離されたことに起因する。すなわち, 超音波エネルギーの付加によって酸ーフェノール界面反応が大幅に促進され, 細胞壁高次構造の解放が迅速化したことから, よりエネルギーミニマム型の相分離系変換システムを構築し得ることが示された。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文
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