ESRによるビニル系高分子網目形成過程の追跡:高分子スピンプローブによるネットワークポリマーの不均一構造の評価
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概要
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多官能ビニル化合物のラジカル架橋重合における三次元化機構の解明に関する一連の研究の一環として, 本研究ではメチルメタクリレート (MMA) -エチレンジメタクリレート (EDMA) 架橋共重合を取り上げ, それらのゲル化点以降のネットワーク形成過程に着目し, 特に不均一網目形成過程の追跡をESR法によって試みた。すなわち, MMAと銅テトラフェニルポルフィリンのメタクリル酸誘導体 (CuMAOTPP) の共重合によって高分子スピンプローブpoly (MMA-co-CuMAOTPP) を合成し, このスピンプローブ存在下での架橋共重合を行った。最初に, 低分子スピンプローブである銅テトラフェニルポルフィリン (CuTPP) と比較した。分子量15,000のpoly (MMA-co-CuMAOTPP) 添加系ではCuTPP添加系よりも早い段階でスペクトル変化が観測され, ネットワーク形成過程を追跡する上で高分子スピンプローブが有効であることを明らかにした。なお, 高分子スピンプローブの効果に分子量依存性が認められ, 分子量95,000のものでは有効性が逆に低下した。次に, MMA-EDMA共重合系において, モノマー濃度, 架橋剤添加量, ネットワークセグメントの柔軟性等のネットワーク構造の不均一性に関連する因子を変化させてESR測定したところ, 不均一性の高いネットワークが形成される系において高分子スピンプローブの大部分はボイド部へと排除され, その分子運動の拘束度は低下した。最後に, スペクトルのシミュレーションを行うことによって, ネットワークポリマーの不均一構造, すなわち高架橋ドメイン部とボイド部の定量化を試みた。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文
著者
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青田 浩幸
関西大学・工学部応用化学科・関西大学HRC
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青田 浩幸
関西大学・工学部応用化学科
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小寺 芳典
関西大学・工学部応用化学科・関西大学HRC
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松本 昭
関西大学・工学部応用化学科・関西大学HRC
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松本 昭
関西大学・工学部応用化学科