クライゼン転位を利用した潜在性エポキシ樹脂硬化剤の合成と硬化特性
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概要
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フェノール化合物はフェノール性OH基がグリシジル基に付加反応することでエポキシ樹脂硬化剤として機能する。そこで, 芳香族アリルエーテルが加熱によってアリルフェノールに転位する反応(クライゼン転位)を利用して, エポキシ樹脂を硬化させる全く新しい潜在性硬化システムについて検討を行なった。具体的には芳香族アリルエーテルの合成とその合成物の転位及び硬化挙動を調べることにより, その可能性を論じた。用いたフェノール化合物から合成したアリルエーテル化物は全て液状化した。1,6-ジナフトールのアリルエーテル化物(DAEN)の転位速度は単環フェノール誘導体より特異的に速かった。さらに, エポキシ基共存下でも転位が速やかに起こり, エポキシ樹脂用硬化剤として, 有用であることを確認した。多官能エポキシ樹脂の硬化剤として使用した場合, 高い耐熱性(Tg : 150℃)が得られた。以上のことから液状エポキシ樹脂組成物における潜在性硬化システムとして, 1,6-ジナフトールのアリルエーテル化合物が有用であると考えられる。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文
著者
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福井 太郎
松下電工(株)電子材料分社 電子材料r&dセンター
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中村 正志
松下電工(株)電子材料R&Dセンター
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伊藤 直樹
松下電工(株)電子材料R&Dセンター
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北村 賢次
松下電工(株)電子材料R&Dセンター
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北村 賢次
松下電工(株)電子材料R&Dセンター
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福井 太郎
松下電工(株)電子材料R&Dセンター
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伊藤 直樹
松下電工(株)電子材料R&Dセンター