FTIRによるビフェニル型ポリイミドの秩序構造形成の研究
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概要
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芳香族ポリイミド [poly (p-phenylene biphenyltetracarboxydiimide)] (BPDA-PDA) フィルムを様々なイミド化条件 (熱および化学イミド化) で作製し, FTIR分光法によって高次構造形成過程について調べた。その結果, 秩序構造 (conformational orderおよび結晶様構造) 形成に敏感な数多くの赤外特性吸収バンドが存在することを見い出した。イミド化温度 (T<SUB>i</SUB>=150-400℃), 熱処理温度 (T<SUB>a</SUB>=300-400℃), 熱イミド化の方法 (一段階/二段階), および膜厚 (t=1-100μm) 等を変化させて, 得られたポリイミドフィルムの秩序構造に対する影響を調べた。T<SUB>i</SUB>=150-170℃でイミド化した時のイミド化率がそれほど高くない段階でも結晶化に有利なコンホメーション (conformational order) が形成され始めることがわかった。これに対して結晶様秩序構造はTg付近またはそれ以上の温度でイミド化してはじめて現われることが明らかになった。一方250℃でイミド化したPIフィルムを350-400℃で高温熱処理しても, はじめの熱履歴の影響が残こるという事実は, 熱的に誘発された分子運動性のみが秩序構造形成を左右する唯一の因子ではないことを示唆している。膜厚と構造形成との関連では, 同じ温度条件で作製されたPIフィルムならば膜厚が厚いほど高い秩序構造を形成するということが示された。このことは分子運動性に影響を及ぼす残留溶媒やイミド化反応の副生成物のフィルム中の滞留時間も重要な因子であることを意味している。PIフィルム中に残存する少量のキャスト溶媒やイミド化反応生成物のPI鎖の分子運動性に対する寄与についても述べる。
- Japan Thermosetting Plastics Industry Associationの論文