膵癌による主膵管狭窄に伴い発生した膵性腹水に対し,内視鏡的膵管ステント留置が著効した1例
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概要
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症例は61歳,男性.発熱および腹部膨満を主訴に入院し,腹部CTにて多量の腹水と膵鉤部に腫瘍性病変を認めた.腹水中のアミラーゼ高値より,膵性腹水が疑われた.保存的加療で腹水は消失せず,EUSで膵鉤部に18mmの腫瘍を認め,FNAで膵癌と診断された.ERCPでは腫瘍が主膵管を狭窄し,尾部に仮性嚢胞が形成され,腹腔内へ穿破している所見を認めた.ENPDおよび膵管ステント留置にて膵性腹水は消失した.癌に伴う腹水の多くは,癌性腹膜炎や低アルブミンによるものであるが,本症例のように膵癌には稀に膵性腹水を生じる可能性があり,その場合には,内視鏡治療が有用と思われた.
著者
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白子 順子
高山赤十字病院 内科
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下地 圭一
高山赤十字病院 内科
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杉山 智彦
高山赤十字病院 内科
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今井 奨
高山赤十字病院 内科
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牧谷 光晴
高山赤十字病院 内科
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小原 巧輝
高山赤十字病院 内科
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