当院において分離された緑膿菌に対する広域抗菌薬の感受性調査とモンテカルロシミュレーションを用いた最適投与方法の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
緑膿菌は院内感染症の起炎菌として重要な微生物であり,施設により抗菌薬に対する感受性に違いが見られる.本検討は当院の入院患者から分離された緑膿菌を対象に,重症例に対する最適投与方法を検討することが目的に広域抗菌薬の感受性を調査した. 当院で検出された緑膿菌の約9割がpiperacillin/tazobactam (PIPC/TAZ)やmeropenem (MEPM)に感受性を示したが,imipenem (IPM)やcefepime (CFPM)に対する感受性は他の2剤と比べ低下していた.緑膿菌感染症例に対する広域抗菌薬の使用状況を調査し,モンテカルロシミュレーションによって最大殺菌効果が得られる投与方法を検討した.MEPMやPIPC/TAZによって最大殺菌効果を得られる投与方法は1日3回以上であり,当院で広く用いられている投与方法と一致した.しかしIPMやCFPMによって最大殺菌効果が得られる投与方法は1日3回以上であり,当院における使用方法と異なっていた.特にIPMでは投与回数を増やしても最大殺菌効果を得られず,緑膿菌感染疑い症例などの初期治療に用いることは治療が失敗する可能性が高いと考えられた.各施設により耐性菌の検出状況は異なるため,自施設の臨床データをもとに薬剤選択することが重要である.今回得られた結果を院内に周知させ,投与法の再検討をする必要性が示唆された.
著者
-
立花 直樹
青森県立中央病院 臨床検査部
-
今 めぐみ
青森県立中央病院 感染管理室
-
平野 龍一
青森県立中央病院 薬剤部
-
坂本 勇一
青森県立中央病院 臨床検査部
-
手代森 隆一
青森県立中央病院 臨床検査部
-
赤平 恵美
青森県立中央病院 感染管理室
関連論文
- 乳児白血病の臨床解析 : 予後因子の検討
- 青森県輸血療法委員会合同会議による地域における適正輸血推進への取り組み
- 40代女性に認めた伴性無γグロブリン血症の1例
- HO14-1 青森県小児ITP研究会の活動について(口演 血小板・凝固,第21回日本小児がん学会 第47回日本小児血液学会 同時期開催)
- ALL-REZ BFM87を用いて治療した再発リンパ球系悪性腫瘍19例の検討
- E27 乳児神経芽腫治療例の検討
- 4. 小児中心静脈カテーテルの選択(第 61 回 日本小児外科学会東北地方会)
- 9.腎臓を合併切除した右副腎原発 StageIVB神経芽腫の乳児例(第60回日本小児外科学会東北地方会)
- 6年の寛解後に2回目の再発を来した胎児期発症肝芽腫の1例
- 遺伝性血小板減少症に楕円赤血球症を伴った1家系
- May-Hegglin anomaly の1家系
- 輸血業務に関わる看護師へのアンケート調査の解析
- 自家骨髄移植術を用いて治療したinv(16)(p13 ; q22)急性骨髄性白血病(FAB M4E)の1例
- 当院において分離された緑膿菌に対する広域抗菌薬の感受性調査とモンテカルロシミュレーションを用いた最適投与方法の検討
- 検体の保存方法の違いによる測定値の変動について
- 地域における多剤耐性菌情報共有が我々に要求するもの : 中心施設の重要性と役割