共役脂肪酸の機能性食品成分への応用に関する研究:(平成25 年度日本栄養・食糧学会奨励賞受賞)
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概要
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共役リノール酸を始めとする共役脂肪酸は, 天然界においては比較的まれな脂肪酸であるが, その極めて強い生理機能が細胞, 動物レベルで示されてきた。このような機能性は私たちの健康に大いに貢献できる可能性を秘めており, 共役脂肪酸は機能性食品素材の候補として期待される。著者らは共役脂肪酸の機能性食品への応用を目指し, その体内動態を解析するため, ガスクロマトグラフィーによる分析法の確立を目的とした前処理方法を確立した。さらに, 細胞試験および動物試験により機能性の探索を進め, 共役脂肪酸は脾臓や腸間膜リンパ節リンパ球の抗体産生増強効果や, アポトーシス誘導による肝ガン細胞の致死活性があることを明らかとした。これらの作用は共役リノール酸の異性体により活性が大きく異なり, 共存するモノ不飽和脂肪酸によって機能性が影響を受けることを示した。本総説では共役リノール酸を中心とするこれらの機能性に関する知見を紹介したい。
- 公益社団法人 日本栄養・食糧学会の論文